我が子に小学校受験、中学校受験をさせるのは「いい環境で学ばせたい」というのが1つの大きな理由でしょう。
ただ、最終的には「いい大学に入ってほしい」という願望があり、そのためのステップとして考えている方も多いと思います。
やはり、最終学歴がモノを言う場面が圧倒的に多いわけです。中学受験で志望校に落ちたとしても挽回できますし、逆に志望校に受かったからと言って慢心しては意味がありません。
では、実際に京都大学、その他一流大学に進学するのはどんな小学生なのでしょうか。学生時代に教えていた小学生たちの進路を塾のオーナーに聞いてみました。
算数好き・国語嫌い
塾で一番優秀だった子です。大手の塾がメインで、個人塾はサブとして利用していました。
大手塾では10段階くらいのレベル分けがされていますが、その上から2番目だったようです。
算数が好きで、難問であっても「頑張って解いてやろう」という気概がありました。その反面国語が苦手で、できればやりたくなさそうでした。
算数が得意ではありましたが、4年生の最後の頃だとトップレベルの問題にはかなり苦戦していました。少しヒントを与える、図に描いてやるといったことをしてやると何とかできるというレベルです。
そこから1年以上かけて反復を繰り返すことで正答率を高めていきました。
最終的にはトップレベルの中高一貫校に合格し、京都大学にもストレートで合格しています。
そこまでは真面目な性格ではなかったように記憶していますが、勉強自体を楽しんでいました。
難問 → わからない → つまらない ではなく
難問 → わからない → 考える → わかる → 面白い の流れができていました。
勉強を面白いと思える子であれば中学入学以降もモチベーションを保てるでしょう。
勉強時間最長
恐らく塾で一番勉強していた子です。この子も大手の塾がメインで、個人塾はサブとして利用していました。
母親がまさに教育ママという感じで、寝ても覚めても勉強を強いているような印象でした。親の敷いたレールに乗せられ、尻を叩かれているという感じです。
四則計算は抜群に早いのですが、文章題になるとからっきしでした。「問題文に書かれている数値を適当に組み合わせ、何か答えっぽい数値を探す」という最もやってはいけない解き方をしていました。
正解した問題であっても「じゃあ説明してくれる?」と聞くと口ごもってしまいます。これでは解けたとは言えません。
前述の京大にストレート合格した子は、間違っていても自分なりの方法を一生懸命説明してくれました。
理解したかどうかではなく、問題が解けたかどうかだけに拘泥しており、勉強が楽しくなかったんだろうなと思います。
第一志望は通らなかったものの、自宅から遠いそれなりのレベルの中高一貫校には合格しました。わざわざ片道2時間かけて通っていたようです。
地元の学校に通い、通学時間を勉強に充てた方がよっぽどためになったような気がします。親のプライド、見栄が許さなかったのでしょう。
京都大学を受験しているようですが、1浪、2浪と浪人を繰り返しています。全く合格圏内ではないようですが、親の見栄で志望校を変えるのは許されないとのことです。
不真面目・生意気
勉強は好きじゃないけれど、親がうるさく言うので塾に来ているという子です。大手の塾には通っていませんでした。
なかなかに生意気でしたが愛嬌もあり、塾に来ている子の中では一番子供らしい子です。勉強は得意とは言えませんが、他のできる子を見て卑屈になるということはありませんでした。
理科が好きで、昆虫や植物、天体の話などには真面目に耳を傾けてくれました。ただ、算数や国語になると注意力散漫になり、説明の途中で全く違う話題を挟んできます。
中学受験はせず、地元の公立中学に進みました。
あの生意気小僧がどう成長するのかと気にはなっていたのですが、10年ぶりに会うと爽やかで礼儀正しい好青年に変わっていました。
有名私大の花形の学部に通っているとのことです。
彼の成長が一番意外でした。ただ、好きなことには集中できる子だったので、もしかしたらこの成長も必然なのかもしれません。
素直なスポーツマン
好きなスポーツをやらせてもらう代わりに塾にも通っている子です。教えたことをとにかく素直に聞いてくれます。性格も真面目です。
スポーツのおかげなのか、集中力は高かったです。わからない問題でも集中して考えることができました。
どの科目が得意、苦手ということもなく、全科目それなりにできていました。ただ、トップレベルの中学を受けるほどの学力ではありませんでした。
確かそこそこのレベルの中高一貫校に進学したはずです。そして1浪ではありますが、京都大学の医学部に見事合格しています。
京都大学の医学部に行くような子は小さい頃から飛び抜けて勉強ができるのかと思い込んでいました。少なくともこの子は天才という印象ではありません。
もちろん幼少期の勉強も大切ですが、素直に勉強を続けられる子は強いなと思いました。
自分自身の話
私自身も京都大学を卒業していますので、参考までに書いてみます。
小学生の頃はほとんど勉強をしたことはありません。野球チームに所属していたので、日が暮れるまで練習の日々です。
中学受験をするのはクラスに一人いるかいないか、という環境でした。
中学は地元の公立です。3年の夏まで部活があったので、勉強は試験前だけやるといった感じです。1年、2年の時は学年の上位20%くらいです。
部活が終わってからは結構真面目に勉強をし始めました。人に教えられるのが嫌いなので、独学です。3年の終わりまでには上位5%に入っていました。
高校は「大学に行かせる金は無い」という親の言葉を受けて、進学校には行きませんでした。しかし、いざ調べてみると授業料免除がありますし、奨学金も貸与ではありますが結構な額が出ます。
そこで、志望校を国公立に絞って独学で勉強を始めた、という次第です。
田舎の高校生が頑張ってみましたパターンですね。
妻の話
妻も京都大学を卒業しています。
小学生の頃から優等生タイプだったようです。先生の手伝いでクラスの他の子に勉強を教えてあげるような感じです。
受験の1年くらい前から大手の塾に通い、難関で知られる中高一貫の国立の学校に合格しています。その学校の卒業生の中には有名な学者、芸能人、一流企業の役員、大使、その他いろいろな人材がいます。
中高の友人の中にはかなりの数の医者がいますし、京都大学にも同級生がたくさんいました。こうした人脈ができるのが優秀な学校に行く特典の1つでしょう。
大学受験の際は相当必死で勉強したようです。
結局何が違う
当たり前ですが、京大生と言っても色々な人がいます。一括りになどできるわけがありません。
ずっとエリート路線の人もいますし、這い上がってきた人もいます。真面目な人もいれば不真面目な人もいます。勉強が好きかと言うとそうではない人もたくさんいます。
ただ、何かしら勉強に面白さを感じることができるというのは重要な要素ではないでしょうか。
いくら努力ができる人でも、面白みが一切ないことをやり続けることはできません。お子さんには勉強そのものだけではなく、勉強の面白さをぜひ伝えてあげてください。
「勉強を面白い」と感じることができる子だけが伸びる可能性を秘めています。